スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのレビュー

スポンサーリンク

2022年1月7日(金)に日本でのファン待望の映画【スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム】が公開されました。

このスパイダーマン ノー・ウェイ・ホームはMCUフェーズ4の映画で4作目になり、全体で見ましても27作目になります。

同シリーズはこれまで、監督・キャストが異なるいくつかのバージョンが製作されており、どの作品も大ヒットを記録、高い人気と評価を獲得してきました。本当に、どの作品も予想をはるかに超える面白さです。しかし今作「ノー・ウェイ・ホーム」は“レベルが違う”と言ってもいいくらい、今までの作品と違った面白さがありました。

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』あらすじ

引用:ソニー・ピクチャーズ 映画

放射能を浴びた特殊なクモに噛まれて脅威的な身体能力を得た高校生のピーター・パーカーはスパイダーマンとして密かにニューヨークの治安を守る活動をしていた。

アイアンマンのスカウトを受け、アベンジャーズの一員となって世界を救うという大きな経験もした。しかし、ミステリオの罠のせいで自分に殺害容疑がかけられ、『スパーダーマンの正体はピーター・パーカーである』と世間に本名まで暴露されてしまう結果になってしまった。瞬く間にして世界で一番有名な高校生になってしまったピーターはこの事態を乗り越える策を考えようとするが…。そうは簡単に…。

引用:ソニー・ピクチャーズ 映画

この事態によってピーターは世界の好奇のまとに。恋人になったばかりのMJや大親友のネッド、世話をしてくれたメイおばさん、トニー・スタークとの関連で知り合ったハッピー、そうした周囲の人たちを巻き込んで、一時ダメージ・コントロール局に連行され、尋問を受けるハメに。

有能な弁護士のおかげでなんとか有罪は逃れられましたが、元の平穏な生活は消えました。ピーターとメイおばさんはハッピーの家に退避。しかし、MJとネッドと一緒に約束したMITに進学するという夢は絶たれてしまいました。自分はしょうがないにしてもこの2人の進路まで犠牲になるなんて…。

引用:ソニー・ピクチャーズ 映画

悔やんでも悔やみきれないピーターは最後の頼みの綱を思いつく。それはドクター・ストレンジ。このニューヨークにいる魔術師です。彼ならなんとかしてくれるかもしれない。

ドクター・ストレンジのいるサンクタムという建物を訪ね、自分の正体がバレるのを時間を巻き戻して無かったことにできないかとお願いしますが、タイムストーンを失ったドクター・ストレンジにそんな能力はありません。

しかし、ドクター・ストレンジからふと妙案が。ピーターの存在を忘れさせることならできる…と。

【ノー・ウェイ・ホームの魅力 】“3人の共闘“と過去シリーズを踏まえた仕掛け

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の魅力は数え切れぬほどあるが、本稿では大きく分けて3つのポイントに絞って紹介したいと思います。

ノー・ウェイ・ホーム【最大の泣き所】

まず一つ目の魅力です。

言うまでもなく最大の“泣きどころ”でもある、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ホランドの3人のスパイダーマンによる共闘です。しかも、シリーズファンなら感涙せずにはいられない仕掛けが無数に施されています。

大きなものだと、高所から落ちたMJ(ゼンデイヤ)をピーター(アンドリュー・ガーフィールド)が救うシーンです。これは『アメイジング・スパイダーマン2』で最愛の恋人グウェン(エマ・ストーン)を同シチュエーションで救えなかった後悔と失意に対する“救済”でしょう。 さらに、トビーとアンドリューの先輩スパイダーマン2人が、トム版スパイダーマンに「ヒーローの生きざま」を伝える展開です。

どちらも大切な人を失い続けたからこそ、メイおばさん(マリサ・トメイ)を殺され、復讐の鬼と化そうとする“後輩”を諭す、最大の理解者となります。メイの今際の際の言葉が「大いなる力には大いなる責任が伴う」という『スパイダーマン』の名ゼリフという演出も、涙を流さずにはいられないはずです。

細かな部分においても、トビーがアンドリューを「君はアメイジングだ」といじったり、『スパイダーマン2』の小ネタ「Oh my back」が本作で回収されたり……(力を失ったピーターがビルとビルの間をジャンプし「戻った!(I‘m back)」と喜ぶのもつかの間、地面に落ちて腰を強打し「腰が…(Oh my back…)」とうめくシーンのこと)。

トム・ホランドによる『ホーム』シリーズではこれまでにも『スパイダーマン』『アメイジング・スパイダーマン』シリーズへのオマージュを感じさせるシーンをちりばめていたが、今回はこれまでの比ではないレベルで、フルスロットルで畳みかけます。 ちなみに『スパイダーマン』も『アメイジング・スパイダーマン』も、シリーズの新作の製作が頓挫してしまった過去があります。

さらにいえば、『ホーム』シリーズは、ディズニーとソニーによる権利トラブルが生じ、一時は「トム・ホランド版スパイダーマンがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)から卒業する」という話にまでなりました。このような諸々を知っているファンからすると、今回の“集結”は奇跡と呼ぶに値する最高のプレゼントです。

しかも、『スパイダーマン3』以降、『アメイジング・スパイダーマン2』以降の話が本人たちからちらりと語られるシーンまで入っており、これまたファンの涙腺を刺激します。 そしてトビー・マグワイアは、2014年の『完全なるチェックメイト』から約7年もの間、俳優としての新作が公開されなかったのです(2017年の『ボス・ベイビー』の声優のみ。主にプロデューサーとして活躍)。約7年ぶりの実写映画のカムバックが本作だとは、誰が予想したことでしょうか。

【ノー・ウェイ・ホームの魅力】 ヴィランを倒すのではなく治療する

続いて、2つ目の魅力です。

それは、トム版スパイダーマンの“信念”の部分になります。彼は、別ユニバースからやってきたドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)、グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)、エレクトロ(ジェイミー・フォックス)といったヴィラン(敵)たちを倒すのではなく救おうとします。これは、本作の非常に大きな特長です。

彼の行動理念はあくまで「親愛なる隣人」であり、ヒーロー然として倒して終わりではなく、彼らが元は善人だと知り、治療を施そうとしたのです。MCU入りして懸念されていたのは、強さのインフレに巻き込まれ、スパイダーマンがスーパーヒーロー化してしまう展開です。活躍のスケールが拡大するほど、本来のご近所ヒーローとしての魅力が損なわれてしまいます。

その“アキレス腱”に対して、本作は実に鮮やかな解答を示しています。スパイダーマンはあくまで「困っている人を救う」ために力を使うということです。その“困っている人”には、別ユニバースからやってきたヴィランたちも含まれているのです。 見せ場となるトビー×アンドリュー×トムのスパイダーマン3人とヴィランのタッグバトルシーンも、目的はあくまで治療になっています。彼らは協力して治療薬を作り、ヴィランたちに投与しようと試みます(ここもまた、過去シリーズで救えなかった悔恨を上書きするものだ)。

“マルチバース”というMCUでも最大級のギミックを投入しつつ、キャラクターの本質を損なわないストーリーには、天晴れとしか言いようがありません。 そもそもトム版スパイダーマンがドクター・ストレンジに「忘却の呪文」をかけてもらおうとするのは、自分以上に恋人MJや親友ネッド(ジェイコブ・バタロン)の将来を考えてのことです。自分の正体が知れ渡ってしまったことでふたりの大学進学が難しくなった“事件”を解決するためです。

ちなみに『スパイダーマン:ホームカミング』ではアイアンマン/トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)が「MIT(マサチューセッツ工科大学)にツテがある」と話しており、彼が存命であれば……という切なさを感じさせるのも上手いですよね。

【ノー・ウェイ・ホームの魅力】 「親愛なる隣人」への原点回帰

そして、3つ目の魅力です。

これは2つ目とも関連しますが、トム版スパイダーマンが“原点回帰”を果たすという点になります。キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)とアイアンマンがいないなか、アベンジャーズの今後はどうなっていくのか――という点は、多くのファンにとって気になるところではないでしょうか。

特に近年のMCUではブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)→エレーナ・ロマノフ(フローレンス・ピュー)、ホークアイ/クリント・バートン(ジェレミー・レナー)→ケイト・ビショップ(ヘイリー・スタインフェルド)、キャプテン・アメリカ→ファルコン/サム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)へと“世代交代”が進んでおり、アイアンマンの弟子であるスパイダーマンにかかる期待も大きかったはずです。

しかし前述の通り、スパイダーマンは宇宙で戦っても、親愛なる隣人。彼がNYを離れて世界の治安のために動くとなれば、キャラクターの根幹が揺らぐことにもなりかねません。そこで本作が導き出した答えは、「スパイダーマン=ピーター・パーカーを全員が忘れる」というものです。

誰にも正体を知られていない状態に戻ることで、スパイダーマンはご近所ヒーローに立ち戻ることができます。 そしてまたこの措置は、シリーズの重要なテーマである「選択と自己犠牲」ともリンクしています。スパイダーマンは皆を救うため、MJやネッド、ハッピー(ジョン・ファヴロー)を含めた全員が自分のことを忘れる“選択”を行います。それはこれまでの人生が無に帰す決断でもあるが、その自己犠牲が彼の高潔な精神を示すことにもなります。

『ホーム』シリーズはピーター・パーカー/スパイダーマンの成長物語でもあったが、本作においてついに彼は真のヒーローへと到達することになります。 また、実にニクいのは、誰も自分のことを知らない世界で、ピーターがささやかなヒーロー活動を行うラストシーンです。

アパートに一人で暮らし、警察無線を傍受して街のトラブルを知るや、自製のスーツで飛び出していく――という展開は言うまでもなく、これまでの『スパイダーマン』シリーズへのオマージュです。 元々は本作でトム版スパイダーマンの単独映画は終了するとされていたが、プロデューサー陣によると新作の企画開発が進んでいるそうです。5月4日には本作ともリンクする可能性が高い『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が公開予定(監督は『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ!)で、本作の最後にはヴェノムとの対決も期待させるシーンが挿入されました。

数字も評価も、最高傑作の領域に達した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』です。

既に多くのリピーターを生んでいるこの映画だが、これで終わりではないというのが何ともうれしいところです。これ以上ないほどの“夢”の続きは、どんな物語になるのでしょうか。

前作が気になるあなたにおすすめ

スポンサーリンク